木下大サーカス

サーカスアーティストに、語学は必要か?

日本のサーカス生活において、語学は必要か?

 それは芸をどこの国の人から学ぶかによります。もし、日本古典芸を学びたいなら、英語は必要ありません。しかし、もし外国人の先生に、芸を教えてもらいたい場合、英語は必要となってくると思います。

どこの国の人に芸を学ぶか?

 私がサーカス時代、芸を教えて下さった先生は日本人でした。その後、アメリカ人、イタリア人 、ロシア人、アメリカ人の先生に芸を教えていただきました。

 玉乗りを教えてくれたのは、アメリカ人とロシア人の先生。 空中フープを教えてくれたのはイタリア人の先生でした。先生たちが話せる日本語は、「こんにちは」「いいね!」ぐらいで、日常生活では完全に英語。そして、サーカスの本場はロシアやアメリカ、そしてヨーロッパ。サーカスの世界大会は、モナコのモンテカルロで行われます。私も2012年に実際に会場に足を運んでみましたが、英語がバンバン飛び交っていました。笑

また当然のことなのですが、青い目とブロンドの髪の毛、高い背丈と鼻、自分とは完全に異なるに美しいビジュアルに憧れと恐れ抱いている自分もいました。

練習中はどれぐらいの英会話が必要とされる?

練習中は、GoやStop、slowly, downなど簡単な英語が使われました。このような中学校レベルの動詞は理解できるのですが、先生との練習時間や場所の打ち合わせには、苦戦しました。日本人アーティストと外国人アーティストでは、スケジュールが全く違うので、自分のスケジュールを伝える必要があります。

 自分の予定を伝え、相手の都合を聞く。日本語では簡単なことなのに、英語だと緊張してしまい、話す時はいつも脇が汗でびっしょりでした。 

相手と英語で雑談ができない悔しさ

 練習前後の雑談では、先生が最近どうなの?と優しく話題をふってくれました。テンパってしまいうまく聞き取れなくて困惑した表情を私が浮かべていると、大丈夫と気遣ってくれました。その優しさがなんとも言えぬ複雑な感情を私の中に呼び起こし、これはまずいと英語を本格的に勉強し始めました。

サーカス生活の英語学習

 私は学生時代、将来英語を使う自分がまったく想像できませんでした。「こんな将来使わないものに、時間をかけるなんてムダだ。」と完全に学習を放棄し、単位がギリギリ取れるくらいに調節する。という赤点寸止め学生でした。サーカスに入り英語が飛び交う練習の場にいきなり放り込まれて、本当に苦労しました。 以下、当時私がやっていた英語の勉強法をご紹介します。

言えない言葉を調べる

練習終わりに、言えなかった言葉を辞書で調べました。他にも日常生活の中で、これは英語でなんていうんだろう?と意識して生活し、休憩時間などを利用し英語での言い方をケータイを使いこまめに調べていました。 

ピエロに日記を添削してもう

 相手の感情を理解し、自分の感情を英語で伝えたい。そう奮起して、私が実践した英語の学習法は、平日は毎日日記を英語で書いて、それを仲良しだったアメリカ人のピエロさんに添削してもらうというものです。 

 今日あった出来事や、面白かった過去の出来事をなるべく感情を交えながら英語で書きました。サーカスの人気者、ピエロさんには、毎朝必ずカウチでコーヒーをたしなむ、という優雅な朝のブレイクタイムが存在します。その時間を狙って、日記を持って行き添削してもらいました。ピエロさん自身も日本語を勉強している方だったので、気持ちよく引き受けてくれました。 

 日記を書いていく中で、日本語と英語だと、動詞の場所が違う!ということに気がつきました。(それくらいのレベルからスタートした英語力)

 添削文を見ながら、ネイティブってこんな風に表現するんだ!とまず衝撃を受けること。そして、それをそのまま暗唱して文章ごと記憶していきました。 

英語アプリで学習

 その後、英語学習アプリなどに手を出しながら、英語のモノマネのシャドーイング、聴きながら文章を書くというディクテーションを重点的に勉強しました。サーカスは移動生活で、教室に定期的に通うということが難しい環境でした。ケータイさえあれば、どこでも勉強できる学習法は、時間を選ばず自分のペースで学習できるので本当に助かりました。


以上、いかがでしたでしょうか?サーカスに限らず、普通の企業でも外国人の方と一緒にお仕事されている方もいると思います。その同僚たちと、どうやったら楽しくコミュニュケーション取れるか?地道な語学学習こそ、相手との距離を縮めてくれる大きな鍵になると思います。